修学旅行中、様々な仏像に出会うと思います。
教科書や資料集ではどれも似通っているように感じるかもしれませんが、実物に近づいて観察をすると「素材」「技法」など違いを感じられるものです。
仏像の材質と造り方で主となるものは「銅造」「塑造」「乾漆造」「木造」の4種です。
【銅造】
①鉄の芯などに土を盛ってゆき、「中型(なかご)」と呼ばれる仏像の基礎となるものを作成します。
②その上から蝋で形を整え土をかぶせます。蝋で隔てられた外側は「外型(そとご)」と呼ばれます。
③外側から熱を加えると中の蝋が溶け出してゆき、形は整ったまま中型と外型の間に空洞ができます。
④その空洞に溶かした銅を流し込みます。
⑤銅が冷えたら外型を外し、表情など細かい部分を仕上げて表面を鍍金(メッキ加工すること)して完成です。
【塑造】
①芯となる木材に太い荒縄を巻き付けていきます、指先など細やかな部分は銅線を取り付けて細い麻ひもを巻きます。
②土で形成していきますが、数種類の土を用意して行われます。
③はじめに目の粗い土→つぎに目の細かい土→最後に雲母(うんも:鉱物の一種)砕き混ぜた土の順で整形していきます。
④完全に乾燥してから、彩色を施して完成となります。
【乾漆造】
①芯となる木材に土を盛って整形して、麻布を漆で張り重ねていきます。
②表面が乾燥したあと、背中部分などに穴をあけ中にある土の部分を取り出し空洞にします。
③空洞となった内部に補強材となる木の骨組みを入れ、あけた穴をふさぎます。
④表面に木屎漆(漆に木の粉、繊維などを混ぜて粘りけを出したもの)を塗り細かな部分を整形し、完成です。
【木造】
①全身をひとつの木材から掘り出すのは一木造り、ふたつ以上の木材を組み立てて完成させるのは寄木造りと呼ばれます。
②木材の状態から仏師の技術ひとつで仏様の姿を掘り出していきます。
③木材は乾燥によってヒビ割れしやすいため、目立ちにくい背面や底から木心をくりぬき完成させます。
小さな仏像や人と同じくらいの仏像は上で紹介した作成方法に当てはめて想像ができるとおもいます。しかしスケールが変わるとどうでしょう?例えば奈良の大仏様。あの巨大な仏様はこうして造られたそうです。
【東大寺大仏殿 大仏】
①山を削って平たくした土地をしっかりと突き固め基礎を作ります。
②その上に木材や竹材で大仏の骨組みを作ります。
③骨組みに土と石膏を塗り固めます、これが大仏の原型となるのです。
④表面に粘土で型を取り、空間に高温で溶かした銅を流し込みます。
⑤大仏のまわりには、銅を溶かす熱を保つための「たたら」という大きな装置が並んでいました。当時はもちろん工業用機械も無い時代ですので、人力で足で装置を踏んで銅の温度を1000℃に保ち作業しました。
⑥大仏は巨大なので、8段に分けて下から順に造られました。
⑦工事が始まっておよそ3年で、銅でできた大仏の全身が完成しました。
⑧そして、大仏が完成した後に巨大な大仏殿が作られました。
⑨最後に大仏の全身を金で覆います。この作業だけでも5年近くかかったそうです。
大仏の全身と光背などの全てが完成するまでに、10年の年月がかかりました。約260万人もの人々の力を集めて、大仏が完成したのです